下記の例は民事訴訟なので、わいせつ事例とは関係ないですが、
“無法地帯”FC2に情報開示命令 民訴法改正後初の事例か
2013年02月20日 16時39分
「FC2だからセーフ」は今後通用しない?
弁護士法人港国際グループは2月20日、FC2ブログ・FC2動画などを運営する米FC2.Inc社(以下、FC2)に対し、ブログ投稿者の情報開示を求める仮処分命令が下ったと発表した。FC2側はすでに当該ブログの情報開示に応じている。
(略)
引用:ねとらぼ
こちらの記事は、FC2ブログに掲載されている「名誉棄損」に当たる記事を作成した人の個人情報を開示しろ、と言う命令を行ったというもの。
他にも著作権侵害で6500万円の請求だとか、民事事案は2011年の法改正以降、海外法人であっても直接訴えることができるので、かなりの訴訟を起こされています。
ただこれはあくまでも民事訴訟です。「わいせつ物頒布」などのわいせつ案件は刑事事件なのでちょっと違います。
「海外サーバーから無修正を配信しても大丈夫という誤解(※コチラ)」でも解説していますが、「刑法 第百七十五条(わいせつ物頒布等)」には国外犯規定がないので、行為自体が日本国内で行われていないと立件できませんし、そもそも米国などの無修正OKな国であれば、サービスを提供していても問題になりません。
犯人の特定する情報はサービス提供法人が持っているのに、その法人に対して捜査権もなければ強制力もないのです。
では、なぜ逮捕できてしまうのか?
インターネットを利用した犯罪の場合、ほとんどがIPアドレスからたどられているようです。
IPアドレス発覚 → プロバイダーに情報開示請求 → 個人特定 という流れですね。
IPアドレスの取得方法として、Eメールのやり取りからというパターンもありますが、サービス提供法人が警察からの捜査協力のお願いに応えたというパターンもあるのではないでしょうか?
特に日本向けのサービスを提供している海外法人であれば、下手に拒否して目を付けられてしまうよりも、善意の第三者として協力したほうがリスクがありません。
「無法地帯」とささやかれていますが、一般向けのサービスを提供していたり、WEB広告で収益を上げているサイトであれば尚更ですね。日本国内にある関係各社や取引先に迷惑がかかるようなことは避けなければなりませんので。どことは言えませんが。
これとは別に、盗撮犯罪集団の捜査をしていたら、動画を購入していた無修正盗撮サイトの運営者にたどりついたという例もありますし、気を付けているつもりでも、「足跡」はしっかりと残っているものです。
日本の警察の方々は真面目で優秀ですので、そういった「足跡」を見つけたら最後、一気に調べ上げます。
「海外法人で海外のサーバーだから無修正でも合法だ!」というわけではないですし、「海外だから日本の警察は動けない無法地帯だ!」というわけでもありません。
違法行為があれば警察は動きますし、海外法人だからといって捜査協力をしないわけではありません。
特にアメリカの場合、プライバシーは守られるべき!という基本理念はありますが、日本の個人情報保護法に当たる法律がありません。
業界別で細かい保護法があったりもしますが、基本的に自主規制の範囲なので、企業が必要だと思えば個人情報を出してもいいのです。そういう意味では、日本企業よりも緩いと言わざるを得ません。
企業としては、自社とその関係者を守るための最善の対応をしますし、身を削ってまで外部の犯罪者を守ることはしません。
犯罪者の個人情報を提出することでリスクが減るのであれば、当然そうするのです。
海外サービスを利用したわいせつ事件のニュースでは、逮捕は伝えても、どのように特定したかは記載されていません。
逆に国内のインフラを使ったわいせつ事件や児童ポルノ関係では、「IPアドレスから特定」とちゃんと書いてあります。
恐らくこれは、国内法が及ぶ範囲のことは発表して、及ばない部分については発表していないと言うことではないでしょうか?
どちらにしても、「足跡」を一部でも取得できていることは確かです。海外法人であっても、個人情報を提供していると考えたほうが自然でしょう。
実際に特定されて、逮捕されている方がいらっしゃるのですから。