「18 USC § 2257」という米国法について

海外系のアダルトサイトのフッターとかに、「18 USC § 2257 Record-Keeping Requirements」って書いてあるのを見たことがあると思います。
リンク先には名前と住所が書いてあったりするのですが、これは、女優さんや男優さんの出演時の年齢確認書についての問い合わせ先が記載されています。

他サイトさんをみていると、「Compliance with 18 U.S.C. § 2257 というのは「当サイトで掲載しているモデルは全員18歳以上です」という意味。」と説明されていることがありますが、これは厳密に言うと間違いです。

「18 USC § 2257」というのは合衆国法典第18編第2257条ということで、ポルノ作品を扱う業者に年齢確認書等の記録保管義務を規定する内容になっています。

みけ子の運転免許証はIDにはなりません。ポルノの制作や編集などに係わる者には、出演者が18歳以上(未成年ではない)ことを証明する義務があるのです。
これは、最初にポルノを撮った人だけではなく、その作品を改変する人にも当てはまります。

ただ運用に問題があり、出演者のプロフィールなどの個人情報が、配信サイトにまでいきわたらなくてはいけないというのは、プライバシーの侵害で違憲だという判決が出ていたりもしますので、通常はポルノを制作して卸している一次制作者の連絡先を記載して、二次制作者や配信サイトには個人情報を渡さないところがほとんどです。

ちなみに、「18 USC § 2256」は児童ポルノの定義を規定する内容となっており、2256と2257は大体セットで運用されています。
また日本とは違い、アメリカでは「非実在の未成年者」、つまりアニメや漫画の生々しい性的表現についても児童ポルノとして扱われます。これが無修正のエロアニメサイトが閉鎖していく理由です。

さらに、日本では容疑をかためるのが検察の仕事なのですが、アメリカでは容疑をはらすのが容疑者側の仕事になります。

つまり、この動画は児ポなんじゃないか?という容疑をかけられたら、その証明をするのは動画配信者が行わなければならず、年齢確認書がない場合、そのまま児ポとして扱われてしまうのです。
特に本物盗撮サイトやユーザーがアップロードするチューブ系のサイトの場合は、当然、出演者の年齢確認書があるはずがないので、とても困ったことになるのです。

チューブ系サイトの2257に書かれていることが多い、「当サイトは一次制作者でも二次制作者でもないので記録保管義務はありません」というのは、限りなく黒に近いグレーです。
2257はサイト運営者にも義務付けているので、ポルノサイトをうたっている限り、免責にはなりません。
YOUTUBEがアダルト動画の削除に躍起になるのもこの理由からです。

「18 USC § 2257」は米国法なので、日本で運営されているアダルトサイトには記載されていませんが、米国法人運営のアダルトサイトでこの記載がない場合、また、問合せ先の名前や住所が正確に記載されていない場合はちょっと怪しいサイトだと思ったほうがよいでしょう。
ポルノの規制が緩やかなオランダなどのEU系のアダルトサイトも多いので、記載がない場合もあります。参考程度に考えてくださいね。

※「18 USC § 2257」という米国法についての執筆・更新は松本しのぶが行いました。
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