カリビアンコムの動画を圧縮する作業担当者(別会社)の逮捕から起訴までまとめ

今年1月に逮捕された映像制作会社「ピエロ」、記事としては「無修正のわいせつ動画を制作し「カリビアンコム」で動画を公開していた映像会社社長ら逮捕」の事件に関連し、カリビアンコムの動画を配信用に圧縮する作業をしていた別会社のスタッフを3月頭に逮捕していました。

その逮捕されていた米国籍の会社員、サープ・マイケル・ナオミチ容疑者を起訴したとのことです。

まずは逮捕のニュース。

無修正アダルト動画サイト「カリビアンコム」運営関与 容疑で米国人男を逮捕 警視庁
2017.3.9 14:03

 米国の大手無修正アダルト動画サイト「カリビアンコム」の運営に関与したとして、警視庁保安課はわいせつ電磁的記録送信頒布容疑で、米国籍で住居不詳の会社員、サープ・マイケル・ナオミチ容疑者(34)を逮捕した。サープ容疑者は撮影した動画を配信用に圧縮する作業などを行っていた。わいせつ動画サイトをめぐり、海外の運営側の人物を摘発するのは異例。

 保安課によると、カリビアンコムはカリフォルニア州の複数の企業でつくる「DTIグループ」が運営。サープ容疑者はこのうちのコンテンツ制作「メディアクリエーションテクノロジー」に所属していた。

 通常、海外サイトへの捜査は困難とされるが、カリビアンコムに動画を納品したとして1月に摘発した制作会社「ピエロ」(東京)などへの捜査で、サープ容疑者らも関与していたことが判明。サープ容疑者の生活拠点は米国だが日本国籍も持っており、同課が来日したとの情報を得て、沖縄県内にいたところを逮捕した。

 逮捕容疑は昨年8月中旬、性行為を撮影した動画をカリビアンコムで配信したとしている。
引用:産経ニュース

さて、こちらのニュースですが、海外系のポルノサイトで配信するための動画を圧縮する会社に所属していて、日本国籍も持っているアメリカ国籍の人物が、沖縄に旅行にきたら逮捕された。と言うものです。

平成23年に改正された刑法175条「わいせつ物頒布等」は下記のように規定されています。

(わいせつ物頒布等)

第175条 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。

2  有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。

刑法175条「わいせつ物頒布等」には国外犯規定はないのですが、ここで言う頒布を「インターネットを通じて不特定多数の者のPCにわいせつな情報を記録させること」だと平成26年11月25日決定の最高裁で解釈されていて、海外にサーバーを置き、海外で運営や動画制作など全ての業務が行われていても、日本からサイトを閲覧した結果として頒布が国内で生じていると言うことで国内犯と言えるとしたようです。

と言うことは、世界的に有名な企業でもある「Hustler」とか、海外系ポルノサイトである「Brazzers」とか、アメリカやヨーロッパなどの無修正が普通の国で運営されているポルノサイトであっても、その業務に従事している者は来日したときに逮捕される可能性がある、と言うことです。

頒布の結果が国内犯となっているので、国籍は関係ありません。
日本国籍を持っていようが持っていまいが、運営している国では合法であっても、日本でわいせつ物である以上、ポルノサイトの運営業務に関わっていたら日本では犯罪者となります。

しかもサープ容疑者はカリビアンコムの運営会社に所属していた訳でもなく、「メディアクリエーションテクノロジー」という別会社に所属して配信用に動画を圧縮する作業に従事していただけで「わいせつ電磁的記録送信頒布容疑」と言うことなので、海外で無修正の動画を配信しているサイトに関連した業務を行っている人は、みんな犯罪者と言うことです。

日本に来たら逮捕されて然るべき、と言うことです。

何かおかしい気もしますが、実際に逮捕されてしまいました。

このニュースを見たときは、警察がカリビアンコムへの圧力として逮捕しただけで、実際に起訴は難しいのではないか?と考えていたのですが、24日に下記ニュースをみてビックリしました。

無修正アダルトビデオを配信、アメリカ国籍の男を起訴
2017.3.24 22:19

 無修正のアダルトビデオを動画配信サイトで公開したとして警視庁に逮捕された男が、起訴されました。一方、出演していた元女優らは不起訴となりました。

 起訴されたのはアメリカの動画配信サイト「カリビアンコム」を運営するグループ会社社員で、アメリカ国籍のサープ・マイケル・ナオミチ被告(34)です。起訴状などによりますと、サープ被告は去年8月、無修正のわいせつ動画をインターネット上に公開した罪に問われています。

 この事件で、警視庁はほかにも男女5人を逮捕したほか、動画に出演していた元女優ら5人も公開を手助けした疑いで逮捕しましたが、東京地検はいずれも不起訴としました。東京地検は10人について映像を公開する行為への関与が薄いと判断した、としていて、起訴猶予処分にしたものとみられます。
引用:TBS News i

「この事件で」と言われていますが、実際にどの事件かよく分からないのですが、ポルノスターであるAV女優さんや男優さんは、「映像を公開する行為への関与が薄い」とのことで不起訴釈放となっています。

女優さんは出演契約書の内容次第な気もしますが、無修正で配信されることが書かれていなければ立件は難しいとも思いますし、過去の経験から「無修正」や「海外」などの記載はしていなかったのかも知れません。

で、サープ被告のみ起訴です。容疑者から被告に格上げされました。

サープ被告が何を聞かれ、どう答えているのかは分かりませんが、聞かれたことのかなりの部分を認めていると思って間違いはないでしょう。

この話、ポルノ業界の話しではあるので政治的な問題には発展しにくい部分もありますが、国際的な問題になる可能性がゼロではありません。
このような規定が厳しい国、緩い国、文化的に捉え方が違う国、様々ありますが、基本的に他国の文化は考慮しないとインターネットの世界は成り立たなくなります。
教義的に日本の規定なんかよりも厳しい国もありますし、最悪死刑って国もあったりします。

日本国内で頒布しても問題ないエロ画像でも、別の国だと逮捕されることもあるわけで、それが日本国内のサービスを利用してインターネット上に載せてしまったばっかりに他国で問題になり追われる身になることもあると、それを日本は国として守れるのかな?ってところが疑問ですね。

このインターネット全盛の時代において、旧来のわいせつの定義を守ることは難しいのではないかと考えています。
児ポについての記事でも書いていますが、アメリカではお父さんが女児をお風呂に入れることでさえ性的虐待ですし、その写真を撮ったりしたら児ポ作成となってしまっています。

そう言う写真をSNSに上げている方、いらっしゃるでしょう?
ほのぼのとした家族の肖像をネットに掲載していただけのはずが、アメリカに旅行で行ったら児ポ容疑で逮捕され拘束された、今回のはそういう事件です。

結果を見守りたいと思います。