リベンジポルノに懲役3年以下の罰則 自民、今国会で成立を目指す

ネットの普及とユーザー自身が動画をアップロードする、所謂チューブ系サイトと、LINEなどの閉鎖的なSNSの流行にともなって、社会問題化していたリベンジポルノへの対策法案が提出されるようです。

リベンジポルノに懲役3年以下の罰則 自民、法案提出へ
2014/10/12 23:58

 自民党は関係がこじれた交際相手の性的な写真や映像をインターネット上でばらまく「リベンジポルノ」の被害を防ぐ法案を今国会に提出する方針だ。画像を不特定多数に拡散させた場合に懲役3年以下の罰則を科す。公明党や野党にも賛同を呼びかけ、議員立法で提出し、成立を目指す。

 ネットなどに第三者が撮影対象者を特定できる方法で、性的な画像を不特定多数に提供するなどの行為を「公表罪」と位置づけた。この場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金を科す。

 性的な画像の不特定多数への拡散を狙って、無料通信アプリのLINE(ライン)などで特定の第三者に提供する「公表目的提供罪」は1年以下の懲役または30万円以下の罰金とする。どちらも被害者らの申し立てがないと起訴できない親告罪とする。

(略)
引用:日本経済新聞

法案自体はまだ見れていないので、細かい部分は不明なところがあるのですが、いくつか気になる点を書いていきます。

  1. 言及されるのはリベンジポルノだけなのか?
  2. 撮影者(元交際相手など)に対する処罰だけなのか?
  3. 不特定多数の範囲は?

現状で気になるのはこのくらいでしょうか。
少し解説を加えます。

言及されるのはリベンジポルノだけなのか?

上に転載させていただいた記事内容では、一応「リベンジポルノ」への対策目的での法案提出と言うことになっていますが、法案内でリベンジポルノという行為への言及がなければ、受け取り方が全く変わってきます。

行為としての「第三者が撮影対象者を特定できる方法で、性的な画像を不特定多数に提供」ということだけであれば、リベンジ目的がなくても適用できちゃうことになるからです。

過去に付き合っていた女性、付き合っていなくてもエッチしていた女性のハメ撮り動画などを、本人の許可なく面白がってアップしてもアウトになります。
顔にモザイクをかけていたりすれば、撮影対象者を特定できなくなるのでOKだと思いますが、普通の人はそこまでの技術はありませんしね。

書いてて思ったのですが、ここまでは想定の範囲な気がします。
許可なくエロ画像をアップしちゃダメでしょ、って思っちゃいました。

撮影者(元交際相手など)に対する処罰だけなのか?

ここ大事。
最初に撮影した方がいて、撮影対象者がいて、映像や画像があって、なのですが、

  1. 撮影した方が、撮影対象者の許可なく、誰でも見れるネット掲示板やチューブサイトにアップロードする。 ←ダメです
  2. 撮影した方が、撮影対象者の許可なく、拡散されることが分かっていてLINEなどで友人とかに送っちゃう。 ←ダメです
  3. 撮影はしていないけどネットで拾ったり友人からもらった後、撮影対象者の許可なく、誰でも見れるネット掲示板やチューブサイトにアップロードする。 ←これは?公表罪の範囲内?
  4. 撮影はしていないけどネットで拾ったり友人からもらった後、撮影対象者の許可なく、拡散されることが分かっていてLINEなどで友人とかに送っちゃう。 ←これは?公表目的提供罪の範囲内?

つまり、最初に拡散をしようとした方のみの処罰になるのか、その後拡散した人まで処罰対象になるのかというところです。
現在のWEBの世界は、どれだけ拡散できるか、みたいなところを競っている部分が多く、リツイートや転載その他もろもろ、一度ネットにアップされた画像はどこまでも拡散していきます。

現実問題として、そんなところまで対象にしていたらキリがないですし、記事内にも例に出されてるLINEへの言及がないところをみると、最初に行為を行った方のみ処罰対象だと考えられます。
どっちにしても、他人に送ったりはせず、プライベートに楽しんだほうが安心ですね。

不特定多数の範囲は?

よくライブチャットとかで言われることなのですが、会員制のサービスだとしても誰でも見れる状態を「不特定多数」と言い、ツーショットなどの特定個人を相手にしている場合は不特定多数とは呼ばない、とか。
法的に大丈夫なのかどうかは分かりませんが、ハプニングバーがダメで、ラブホがOKというのに似ています。

で、問題なのは、「性的な画像の不特定多数への拡散を狙って、無料通信アプリのLINE(ライン)などで特定の第三者に提供」という部分の解釈です。

LINEが例に出されているのでプライベートな関係の第三者を想像してしまいますが、実際は、映像配信業者(特定の第三者)等への提供を含んでいるのでしょう。
つまりは、撮影対象者の許可なく、エロ動画配信業者に売ったりしたらダメよ、と言うことなのだろうと。

自分で拡散してもダメ、人に渡して拡散してもらってもダメ、ってことなんですが、罰則に差をつける必要はないんじゃないかなと、ちょっと思いました。

実際に法案が通って施行されたとして、ネットに出回ってしまった自分のエロ画像を誰が最初に流出させたのかと考えたときに、当然、彼氏やセフレなどの身近な人になるでしょう。
撮って持ってた人が何かをしない限り、ネットには出回らないのですからね。

ただその後の二次利用による被害はいたちごっこです。
拡散するスピードと削除依頼の処理スピードのどちらが速いのか、考えなくても分かると思います。

この法案でどのくらいの被害が防げるのか、そこに興味があります。
彼女に許可をもらってネットにアップする人は少ないと思うので、チューブ系エロサイトは存在価値が低くなりますね。著作権侵害に公表罪、これに該当しない動画だけになったら、はたして何本残るのか、これも興味があります。